新婚生活の記憶

※思い出話

入籍翌日にわたしが入院して、退院後一ヶ月で娘が生まれたから、夫と二人きりの新婚生活は実質、臨月で絶対安静の30日間ほどしかなかった。

それはまるで束の間の凪のような期間(というよりも空間に近い)で、空はずっと薄い桃色で、静かで、自分が幸福という存在になりそのままぼんやりと世界に溶けてゆくような感覚でわたしは暮らしていた。

というのをふと思い出した。

本当に空が桃色であり続けるなどありえないわけだが、わたしの記憶の中で空の色は確かに薄い桃色なのだ。

思い出しついでに、そういえば当時は夫とあまり実のある話をした記憶ないなと思い至り、LINEのやりとりなど見返すと、痴話喧嘩などは一応あったようだ。

夫は、今と優しさも甘さも何もかもがまったく変わっていなくて、わたしだけが、母になり一人厳しくなったことにはおそらく間違いがない。

彼について”父親として未熟だ”と感じることもあるが、わたし自身、元来頑固でワンマンプレーにこだわる癖して、この愛らしい人にいきなり親として同じ立場から共闘せよというのは、酷な話ではあったかもしれない。

なんにせよ今でも夫は当時のやりとりとまるで違和感のない愛らしさを備えており、傍で変わらずわたしや娘を笑わせてくれる。

今夜は美味しいものでも作ろう…

娘、覚えた歌のリストが増えて、わたしの鼻歌に歌詞付きで続きを歌うようになった…

『モアナと伝説の海』に出てくる日本語の歌は大体感情全乗せして歌ってくれる。

愛おしさの化身か。

このこの~!!!!!

我が子の存在していなかった頃の世界ってどんなだったっけと時々思う。

割とずっと楽しかった筈なのに、自分が何を大切に思い、何に喜び、何に怒ってきたのかもはやいまいち思い出せない…